再発
31歳の6月に私は再婚した。
しかし結婚生活は順風満帆とはいかなかった。
相手の連れ子と義母私達親子の6人家族になり、車で2時間の隣町に引っ越した。
私の麻痺は姑にバカにされた。
「あれで仕事できるん?家事すらできんのんじゃない?」
と夫と話す声が聞こえた。
悔しかったからすぐに再就職先を探した。
毎日家事もした。
私の再就職先はショートステイという施設に決まった。訪問介護では生活が厳しいと思ったので、せめて自分と娘2人分の食いぶちくらいは稼ぎたいと思い、夫や姑には負担に思われたくなかった。
夜勤があるので、娘達の心配はあったが幸い今は姑がいる。
夜間の心配と朝の学校の送り出しなど、お願いできたので、私は仕事に集中できて感謝していた。
表向きは良い家族関係に見えたかもしれないが、
私にとっては悪夢の始まりだった。
それは決まって夜勤明けの日で、
娘達が夜中寝ていると酒に酔った姑が娘達の部屋の物を蹴り倒しながら大声で喚き散らすから眠れなかったと娘達は言う。
学校から帰って来ても鍵が閉まっていて何回チャイムを鳴らしても開けてくれず、暑い夏の日は汗だくで喉がカラカラになりながらひたすら戸が開くまで待っていた。など
でも実の孫息子が帰って来たのが分かるとようやく開けてくれたとか
立場の強かった姑には逆らえず、娘達を守ってあげられなかった。旦那に姑の事を伝えても真剣に話を聞いてくれなかった。
子供達の心配もありながら仕事は続けないといけない状況の中仕事帰りに寄ったスーパーで
自分の体の異変に気付いた。
買い物を終え車に戻る時、買い物袋を持った左手から何回も袋を落としてしまう。
明らかに痺れを感じた。
間違いない。確信した。
再発だと思った私は
翌日隣町の大きい病院に行き検査した。
医師の説明では、
再発を繰り返すと麻痺の状態レベルが1段階づつ落ちていくので、薬の飲み忘れや、強いストレス、原因因子を取り除く事など、日常生活において気をつけてもらいたい事を沢山説明された。この時にまだ辞められていなかったタバコを絶対に辞めようと決意した。タバコって辞めて気づいたのが「依存」なんだよね。
依存体質の人はタバコやお酒に人‥色々なものに依存して自分を保とうとする。
寂しさなんかもそうかもしれない。
紛らわせる事なんてないんだけどね。つまりは自分自身の弱さがそうさせてしまう。
これに気づくようになるのはずっとずっと後の事になるんだけど‥。
脳梗塞発症前は過食傾向だったのも勿論原因の一つだったんだけど(^^;;
だから当時は体重も人生でMAXだった。
産前より太っていました。
それが再婚してからは20キロも痩せたというのに、再発してしまった。
絶対に禁煙とストレス解消法を考えていかなくてはいけない。
入院生活中、娘達の心配が一番に頭をよぎった。
自分がこんなに病弱な為に子ども達に十分な愛情を注いでやれない事、他人の力を借りないと育ててやれない不甲斐なさに涙が出て来た。
何の為に産まれて、どんな使命の為に生かされているんだろう。
川島あいの「天使たちのメロディ」
私の好きな歌。下手くそだけど口づさんでいた。
思い返せば退院してから再婚するまでは毎月通院もして、服薬も欠かさなかったのに、
再婚して生活保護も切ってしまってからは
経済的な事もあり通院も服薬もまともに出来ていなかったし、ストレスも感じていた。
幸せになる為の再婚がかえって子供達を苦しめるだけの不幸な日常になってしまっている。
娘達も母さんと3人で暮らしてた時の方が楽しかった。とよく言うようになった。
ごめんね。母さんの選択は間違っていたかもしれないよ。
私は病室で何時間も1人で泣いていた。